March 31, 2014

大型観光バスのバック誘導の方法

 警備員をしていると様々な車両の後進誘導をします。2トンダンプあたりから始まって、私が感じた「果て」は0.7立米クラスのバックホーを載せてもケツから出ないロングのダブルトレーラー回送車ってところでしょうか。

 セルフの回送車ならともかく、トレーラーは頭を振ると後ろが見えません。警笛だよりでバックしてきますので、後方の安全確認に専念してドライバー任せです。ありがたいことに、でかいトレーラーは腕がいいので、ぴたっと狙った位置にキメます。

 さて、あまり機会がないであろう大型観光バスです。

 大型観光バスの後進誘導は、2014年現在で「ここ数年で誘導方法が大きく変わった」分野です。従来は警笛の使用が基本でしたが、今ではたいていのバスがリアマイクを装備しています。リバースに入れるとバックモニターが生えてくる観光バスもいます。

 リアマイクの装備位置はバス後方左側です。

 右にハンドルを切ってバックしてくる大型観光バスであっても、リアマイクに合わせて誘導位置が左後方になります。通常は右ミラーの位置ですよね。ですが違います。

 バスレーンに合わせてバックするバスを想定します。ここで先に、危険なポイントを説明します。
・リアマイクを聞いてない
・バックモニターを見ていない
はい。これが揃うとバスが後進でオーバーランします。私たちはこうする。
「左手で停止合図を併用する」
左後方なので、左手で誘導灯を振ります。停止位置に近づいたら左右に振って停止予告をかけてから横にして停止の合図です。これ原則。

 では、順を追って手順を解説します。尚、この記事の情報源は「大型観光バス運転手から聞いた生の声」「添乗員のやり方」「上司の指導」「経験」のみです。ネットからの又聞き情報はありません。ネットでは大型観光バスのタイトなバック誘導の動画などが見られますが、よく見ると、同じ会社で先に停車させたバスの運転手が添乗員のフォローに入って誘導している場面などがあります。いずれにしても、あれは信頼関係があってこその誘導技術なので、一見の警備員では難しいところです。

フェーズ1:大型観光バスをこちらに呼ぶ
右手に誘導灯を持って、大きく時計回りに円を描きます。これ、大型相手の現場でも使いますよね。ちなみにマイクロバスはこの合図を知らないことが多いです。

フェーズ2:バスに幅寄せの合図を出して進路を確定する
バックで駐車してほしいのでそちらに振ります。

 10台のバスレーンがあったとしましょう。一番難しいのは最初の1台の誘導です。うまくかみ合わないようだったら手前でバスに停車を求め(誘導灯または右手を高く上げて軽く振る)、
「右側のバスレーンの一番奥にバックでお願いします」
など、運転手に直接お願いします。これ、確実です。

フェーズ3:大型バスが頭を振るスペースの安全を確保する
まだバス後方につきません。大型観光バスが左にハンドルを切って頭を振る場合、左は完全に死角になります。そこの安全を確保するのが我々警備員の仕事です。

フェーズ4:バスの左後方に入り、後方の安全確認ののちに誘導を開始する
リアマイクの位置はここでわかります。左後方か、側面についています。見当たらなかったら手誘導です。駐車マスの角で、左手の誘導灯を上に上げると目安になるそうです。左手に持っている理由はこのあとわかります。基本、マイクに向かって「オーライ、オーライ」でバスを誘導します

フェーズ5:バスの停車位置の見当がついたら、右手を水平に出して停車位置を示す
リアマイクとバックモニターを前提にした話なのですが。絶対にバスの真後ろには入らないこと。左ミラーに見える位置で誘導します。声は停止位置が近づいたら「オライオライオライ」と3回くらいで、早く繰り返して停止位置が近いことを知らせます。そして、早めに「はいストップでーす!」、左手は停止合図でストップをかけます。

 警笛を使用する場合は「ピーーーー(停止位置が近い)、ピッ!(停止)」ですね。

 右手をバスの停止位置で水平に出すのはもちろん訳ありです。ここで止まってねと。運転手によっては、右手がぴたりと触れる位置で止まったりします。しつこいですがボケてるとひかれます。

 バックが丁寧かつ知ってる運転手に応用を使ったことがあります。フェーズ5で、右手を出した位置より手前でだいぶゆっくりバックしてくれることがあったんですね。
「オライオライオライ……もうちょい、もうちょい、はいストップです!」
1台目だったんですが、狙った位置ピタリです。「もうちょい」は運転席から顔を出しているような大型相手に使っている声誘導です。

フェーズ6:停止後、左ミラーに向かって会釈
お互い、気持ちよく仕事したいじゃない。運転手さんが左ミラーを見てるかどうかはわからない。大型観光バスの左ドアを開く算段で忙しいかもしれない。でもね、そこでホーンのお礼が返ってくることがあるんです。

 大型観光バスがホーンを鳴らす時って、「もうこれ以上下がらないよ」ってのが基本です。基本ですが、先ほどの「もちょい、ストップ」の時はテンキュの意味で鳴らしてくれました。これ、珍しいです。

 というわけで書いてみましたがいかがでしたしょうか。警備員も結構がんばっているのだぜ?


Posted by Nemo at 23:16 | guard

March 05, 2014

KYK できますか? 書けますか?

 交通誘導警備業務(いわゆる2号業務)をしていると、様々なKY用紙に当たります。
「こんなKY見たことない」
というトンデモKYがある一方、至極簡単に死亡災害が発生する現場の厳しいKY用紙にぶち当たることもあります。

 先日、見たことがないほど厳しいKYにぶち当たりましたので、これをきっかけにKYKについて書いてみたいと思います。尚、厳しさの具体的なことを書いてしまうと日本におけるKYKのルーツまでつながってしまいますのでそのあたりは守秘を発動させていただきます。

○KYKとはなんぞや?

 略語の解説は後回しにしますが、KYKとは危険予知活動です。現場を見て、作業内容を聞く。
1.今日の作業においてどのような危険が予想されるか
2.それに対してどのようにして事故災害を防ぐか
この2つのセットが基本的なKYKです。作業を始める前にやるから危険「予知」というわけですね。

 KYKは「危険を察知する目」がないとできません。そして、「危険を察知する目」は意識したその日から、経験を積むことでどんどん研ぎ澄ますことができます。今すぐに、始めましょう。

 KYKは、
K. 危険
Y. 予知
K. 活動
の頭文字を取ったものです。KY活動とも呼ばれます。類義語としてTBMがあります。ツールボックスミーティング。作業開始前に、道具箱の前で、今日の作業はこのような危険がある。だから我々はこうする。そして、例えば
「足元確認よいか!」
「足元確認よし!」
本日も安全作業でがんばろう。となるわけです。

 さて、ここからはKYのメリット、KYの第一歩、KYの現状などを書いていきたいと思っていますが、途中で息切れしたらごめんなさい。

○KYKが書けることによるメリット

 KYがあるような現場ではたいてい新規入場と朝礼があります。順番にこなしましょう。
1.現場事務所にて礼儀正しく挨拶します
2.新規入場をさらりと書きます。健康診断や入社年月日、経験年数など細かいことを書かされる場合もあります。血圧とか。携帯かメモ帳にメモしておいて、確認しながら記入して構いません。正確に、記入漏れがないよう書きましょう
3.KY用紙と向き合い、のーみそがスポンジになるくらい絞りきって書きましょう
4.朝礼をサクッと決めます

 ここまでキメれば我々のターンです。監督がKYをチェックし、この警備員はいいなと思ったときに目がいくのは、
「職長:Nemo」
の部分です。

 ヘルメットの名前を確認するまでもなく、名前を覚えてもらえます。監督が現場に来たら、
「お疲れさまです」
「ネモ君、何か変わったことは?」
「特にありません」
から始まって、
「ネモ君、今日はジャンボ(ブレイカー)を使うから、苦情とかあったらすぐに連絡してくれ」
「了解です」

 もちろん、監督の携帯電話番号は私の携帯電話に登録済みである。

 そして、朝のミーティングが始まる前に監督から。
「ネモ君はしっかり(KYを)書いてくれてるね。前のところはミミズがのたくった字みたいだったよ」
実話である。

 下請けでやってる業者の方が現場に挨拶に来て。
「今度の警備員は気が利いてていいねって監督が言ってましたよ。これからもよろしくお願いしますねー」
「こ、こちらこそ、よろしくお願いいたします!」
実話である。

 いいって言われるとテンション上がるよね。明日はもっとがんばろうって。

○KYKの現状

 KYって、たいてい職長が書いてますよね。あれ、本来は全員参加です。全員で危険なポイントを出し合って、危険度の高いものをKYに記入する。対策も全員で共有するのが本来の形です。

 現場の下請けさんのKYとか、時々チェックしてます。ぶっちゃけ書けない人が結構います。毎日同じメニューとかね。肉、肉、肉、そろそろ飽きただろって。警備員が同じ事をすると怒られます。肉、魚、今日は野菜炒め、ってローテーションでもいいので回していくことです。

 私は幸運なことに職長補佐(同義語:便利屋)として経験を積めました。
「ネモ君、ここはこうなってこうだから○○よし! の流れにしようよ」
職長は大先輩で、恐ろしいほどの腕利き警備員です。報告書もKYも関連書類も私が書きます。職長は朝礼と「○○よいか」「○○よし!」だけで、あとは現場に集中してもらいました。

 実は恩がありまして。さらに前に、私が職長になっちゃった現場で、数ヶ月分のKYを一気に書くことが要求されました。かの先輩は、嫌がることなく手伝ってくれました。私は元々書類関係が得意。先輩は現場の仕切りがピカイチ。得意分野で力量発揮というわけです。

 とりわけ、KYKにおいて、安全に関しては警備員の独壇場です。我々はそれが専門なのですから。胸をはってKYを書いていきましょう。

○KYKの第一歩を踏みだそう

 KYって何を書いたらいいのかわからない。では、例を出しましょう。交通誘導をしていたら必ずあることです。

1.今日の作業においてどのような危険が予想されるか
「一般車の誘導をしているとき、よそ見をして、車に轢かれる」

2.それに対してどのようにして事故災害を防ぐか
「周囲の確認を徹底する」

 今、こいつ馬鹿かって思いました? 実はここがスタートラインです。

 1.はKYの基本テンプレートに合わせました。
「~なので、~して、~なる」
こんな些細なことから始めるのがKYKです。

 2.は、「よそ見」というところから拾った対策です。

 ABC活動というものがあります。
A. 当たり前のことを
B. 馬鹿にせず
C. ちゃんとやる

 やりましょう。

 ちなみに、今の例は実際のKYで書いたことはありません。読んだ監督がどんな顔をするかは想像できませんのであらかじめご了承ください。

○じゃあ、現場のKYは何を書けばいいの?

 現場と作業内容によって異なるのですが、警備員の場合には2つの指針があります。
1. 現場全体の安全のためのKY
2. 誘導員自身を守るためのKY

 2に関して一つ。交通誘導警備員の受傷事故は本当に多いです。一時は「検定合格者」「ベテラン」が槍玉に挙げられていましたが、今はベテランルーキー検定関係なしに受傷事故が起こっています。私たちはこうする。
「待避場所、方法を選定し、いざというときは待避する」
よそ見運転をしている車が突っ込んできたときに逃げる場所を確認しておく。逃げる。これをKYに書いて怒る監督はいないはずです。

○最後に

 この記事はほぼ私一人、あるいは教えてくださった先輩、といった狭い感覚で書き上げたものです。可能であればブラッシュアップしたい。また、KYってよくわからないからもっと詳しく教えてといったコメントも大歓迎です。みんなで幸せになろうよ。

 では本日もご安全に!

Posted by Nemo at 22:05 | guard