October 12, 2011

ずぶずぶの素人運転手をまともな運転手にに叩き直す仕事

 警備員は安全に関するプロフェッショナルである。

 私の所属する会社は国土交通省発注のとある仕事に10年くらい携わっている。何しろ仕事がでかいので、元請けもでかい。下請けもまともな業者でないと入れない。私がその現場に呼ばれたのは去年の冬か、春にかけてだろうか。仕事の内容もいかついもので、「大型工事用資材搬入車両並びに土運搬車両の誘導」というもの。業務用無線が届くギリギリに散らばって誘導に当たる。そしてすぐ隣には同じく国交省発注で別の元請けさんの現場もあって、10トンダンプだけで20台近く動いている。こちらもうちの社でやっているので連携を取ったりする。

 10トンダンプというとバカでぐずでのろまな迷惑なやつが多いが、仮にこれを野良ダンプと呼称する。逆に、我々が誘導に当たったのは10トンダンプを含めて「プロ」の大型車両ドライバーである。この違いは極めて簡潔。プロは警備員が停止の合図をしたら100%止まる。千回やっても千回止まる。警備員の誘導とドライバーの間に信頼関係があるからこそできる話なので、こちらとしても気が抜けないのではあるが。

 さて、時を経て元請けさんが変わったのが今年の春。本格的に稼働して私が呼ばれたのが夏。そして4トンダンプで土運搬をするとなったのが真夏かねえ。

 この4トンの運転手たちがド素人。交通誘導業務をしていて一般車優先を知らない警備員はまずいないはずだが、こいつらまるでわかってない。飛ばすこぼす誘導見てない。最悪なのは警備員が立ってて一般車優先で停止合図を出す場所にかっ飛ばしてくること。これにはもう、最初は我慢してた同僚が数日経ってとうとう怒って元請けに事情を話す始末。最後には元請けの所長さんから「ダメなら下請け変えるから報告してくれ」との言質を取った。

 困るのは下請けの職長さんで、彼とは土運搬前から組んでたので、うちの警備員が怒る前から幾度となくミーティングをして、ここを直しましょう、こちらの誘導に不備はないですかと話を重ねてきた。挙げ句の果てに下請け変えるぞ通告。ストレスで心配になって話をしたことがあるのだが、本人はまったく平気とのことだった。こういう器の大きい人でないと親方はつとまらない。

 ようやくドライバー全員がまともな工事車両として運転するようになり、警備員の誘導ともうまく連携できるようになった頃、事故は……起こらなかった。

 我々は安全に関するスペシャリストである。

 仕事がうまくいくようになったところで終わってしまうのは惜しいが、あの危なっかしい連中が無事故ですんだのは本当によかった。

 この下請け業者さんは距離が離れていることもあり会える機会はほぼないとは思うのだが、また一緒に仕事をしてみたい。そんな気分になる。


Posted by Nemo at October 12, 2011 22:04 | guard